半僧坊大権現には「水難除け」の信者も多くおられます。
縁起によりますと、方広寺の開祖である無文元選禅師が元(現在の中国)より船にて帰国の折、東シナ海で台風に遭遇されました。風は帆柱を折欄ばかりに強く吹き、雨は滝のごとく落ち、波は逆巻いて禅師がお乗りの船を今にも飲み込もうとする勢いでした。
大きく揺れる船の中で、禅師は一心に「観音経」をお読みになりました。そこに法衣を着て袈裟をまとった、鼻が高く眼光鋭い一人の異人が現れ、「わたしは禅師が正法を伝え弘められるために、無事に故国にお送り申します」と叫び、船頭を指揮し、水夫を励ましました。そして無事に嵐の海を渡って博多の港に導きました。
これにより、古来より半僧坊大権現は水難除け・海上安全の信仰を集め、近年では津波の災難除けにとご祈祷される方も多くおられます。